アパレル業界就職への道VOL.16(最終回)

増田恵一(キャリアカウンセラー/文化服装学院キャリア支援室室長)

内定から入社まで

さて、いよいよ最終回となりました。最後までご愛読頂いた皆様には本当に感謝申し上げます。

内定

(1)内定の意味

正しくは始期付解約権留保付労働契約といい、「あなたを社員として雇用します」という採用する側の意思表示です。

(2)内定通知の形式

内定が、いつ、どのような形で通知されるかはさまざまです。面接が終わったその場で口頭で伝えられる場合もあれば、面接当日あるいは翌日に電話、メールで通知される場合もあり、また数日後に郵送で届く場合もあります。通知の形が口頭、電話、メール、書面のいずれであっても「内定」に変わりはありません。

(3)内定の承諾と辞退

  • 承諾する場合
    お礼を述べ入社の意思を伝えます。
    「ありがとうございます。謹んでお受けいたします」
  • 保留する場合
    他社と併願中などの理由で即答できない場合はその旨を伝え、内定保留をお願いしてみましょう。
    保留を認めてもらえる場合は保留できる期限を確認し、それまでに意思決定します。
  • 内定先会社内で署名・捺印する
    社内で内定通知書を授与され、その場で誓約書/承諾書に署名・捺印して提出する。

(4)誓約書/承諾書の提出

  • 誓約書/承諾書
    「内定誓約書」「内定承諾書」「入社誓約書」「入社承諾書」などの名称が一般的です。
    なお、誓約書/承諾書の提出を特に求めない企業もあります。
  • 署名・捺印して返送する
    内定通知書に同封して届く、誓約書/承諾書のみ届くなど、さまざまです。
    署名・捺印して定められた期限までに返送する。期限が定められていない場合であっても、手元に届いてから遅くとも2週間以内に返送するのが望ましく、その際は礼状を一筆添えるとなおいい。
  • 辞退する場合
    内定辞退のお詫びは電話で伝えます。お詫びのために会社まで出向く、あるいは詫び状を書くなどは必ずしも必要ありません。ただしメールによるお詫びのみは避けましょう。
    また、入社を約束する書面(誓約書/承諾書など)を提出した後で内定を辞退することは厳に謹んでください。会社側が法的手段に訴えるなど大きなトラブルに発展するケースもあります。

[番外編]

最後に、リクエストがあったこちらの内容を紹介して締めくくりたいと思います。

●ブラック企業の見分け方

求人広告

(1)離職率

  • 「従業員の平均年齢が○歳前後」と、記載が曖昧→大半が平均年齢前後で退職しており、ベテランがあまりいない。
  • 「若い仲間が多く...」→ベテランはいるが、若手社員の退職が多く、社員の入れ替わりが激しい。短期の雇用または使い捨て・使い潰しを前提とした大量雇用を行っている疑いあり。

(2)ノルマ

  • 「若い社員にも重要な仕事を任せる」→ 未経験者同然なのに仕事の指導やアドバイスがほとんどなく、入社と同時にベテランと同等の仕事をこなすことを要求し、その責任が若手社員に転嫁される。若手社員に重量物の運搬や、危険を伴う作業を押し付けたり、名ばかり管理職に就ける場合もある。
  • 「ノルマなし」「頑張った分だけ報われる」→実際はノルマ以上の目標を、「従業員が定めた自主目標」として会社側が設定を強要し、年度の変わり目などに「自主目標」を少しずつ高く設定するよう強要する。達成できなければ懲戒解雇などの制裁が待っている。
  • 仮にノルマを達成しても、「できて当たり前」という認識しか持たないため、売上や利益が賃金に還元されない(ノルマの達成に対する手当や報酬がない)。

(3)長時間労働

  • 「アットホームな雰囲気」→実際は、上司らが休日やプライバシーへ過剰に干渉してくる。サービス残業・付き合い残業が恒常化。休日も会社の行事に強制参加。
  • 「残業なし」→残業「代」がないという意味。自己責任の名目の下「無給」で残業させることであり、管理部門に多く見られる状況。
  • 「少数精鋭」→仕事量に対する人員配置がきわめて過少な状況で、まともに分業できていない場合が多い。残業や休日出勤も恒常化し、社員のプライバシーが干渉されやすくなる。大規模人員削減を終えた企業の採用などでしばしば聞かれる文言。

(4)給与

  • 「月30万円以上可能!」のように、高給を強調→残業・休日出勤・夜勤などの手当を(労働基準法で認められる限界まで)加算した合計額を指しており、欄外にその旨が目立たないよう小さく併記することがある(例:月30万円以上可能!(残業・休日出勤手当含む))。歩合給の比率が大きいにもかかわらず、従業員の平均年齢・勤続年数の割にモデル年収が不自然に高いこともあり、これらの情報が目立たないよう記載されている(基本給と手当ての内訳についての説明がない)。
  • 「あなたの努力(がんばり)を正当に評価」→難癖付けて給料を上げない場合があり、経営者の主観的・恣意的な基準でしか評価されない。

(5)イメージの偽装

  • 「明るい雰囲気」→体育会系的な体質の企業(根性論中心の営業職、精神論中心の社風、経営者や上司、先輩社員による理不尽な暴力や暴言が日常茶飯事)。
  • 求人誌での好々爺風の初老の男性や綺麗目な女性の写真や、社長と社員が笑顔で語らう写真など無害そうなイメージを前面に出す企業→印象操作によりブラック会社であることを逆に隠そうとしていることを疑わせる。
  • 求人広告や会社の求人用パンフレットでの「働きやすい」「実力を発揮できる」「私(僕)の人生を変えた」などの体験談→上層部や求人誌の制作会社による「やらせ」。
  • 求人サイトにおける「学生に人気のある企業ランキング」の投票でアルバイトを雇ったり社員を動員させたりして「組織票」を入れさせ、あたかも大学生に人気があるかのように擬装する。
  • 「明るい明日」、「明るい未来」、など曖昧かつポジティブな将来像を強調する。→現在はその正反対であるということ。

(6)業種・職種の偽装

  • 不人気な業種・職種で募集する際、カタカナ語や専門用語、あるいは独自の造語などを用い、意図的に誤認を導く曖昧な表現が多用されている。
  • 例えば、不人気な職種である飛び込みの訪問販売を「販売」「サービスアドバイザー」「フィールドマン」と言い替えたり、「お客様サポート」が修理とクレーム電話処理係を兼任させるなど。

(7)面接

  • 面接が一切ないか、形骸化している。大量に離職するか離職されてもすぐに代替の人材を確保できるため、よほどのことがない限り採用される。
  • 面接時に履歴書や職務経歴書を提出しても、内容を精読せず質問する。
  • 質問の際、待遇(給与・休日など)に関する質問をすると、曖昧な返答しかせず、言葉を濁そうとする。
  • 「学歴不問」「人物本位の選考」→退職者が多いことと、すぐに代替の人材が確保できることから、入社するなら誰でもよいことの一例。
  • 休業日、あるいは業務とは無関係な場所で面接や説明会・選考試験を行う。「今の時間はたいして忙しくないから」「個人情報を扱っているので」などとの口実を付け、不都合なものを見せないようにするため職場の見学を拒否する。
  • 不採用になった場合、応募者の履歴書・職務経歴書などの応募書類を返却してこない。返却するとしても(会社負担とすべきにも関わらず)応募者に送料の負担を求める(返信用の封筒を添付するよう要求する)。

(8)職場

  • トイレや玄関の掃除ができておらず、不衛生な環境になっている。
  • 事務所の規模が、求人票の従業員数と大きく隔たりがある。派遣や請負で成り立っている会社である可能性があり、会社間で契約書と出勤表を回して中間マージンを搾取をしているだけの企業である可能性が高い。
  • 管理職以外は20代前後の若手社員しかいない。過酷な環境から社員が数年以内に離職に追い込まれるため。
  • 経営者や社員の私物が不必要に散逸している(会社の私物化と受け取られる可能性がある)。

(9)採用

  • 採用通知を書面で通達しない。採用通知の電話連絡や雇用契約の締結後に雇用条件を口頭で次々と変える。職種の変更などもある。録音しない限り証拠が残らない。
  • 個人事業者として採用する。社員でない場合、労災の責任や社会保険の会社負担がない。正社員で採用されたと思っていても、労働契約書の記載が違う場合がある。あるいは正社員で採用したかのように誤認させる。
  • 採用した直後に労働契約書を書かせない(労働者に不利な雇用契約を締結させるため)。
  • 採用した直後に従業員の給与振込み用の口座を尋ねないか、または従業員に給与のシステム(タイムカード制か歩合制かなど)を一切伝えない。働きが悪ければ、給与未払いまたは減給で解雇しようと目論んでいるため。
  • 法人ならば加入義務がある社会保険の制度がない、あるいは入社後一定期間を経なければ加入できない。
  • 従順な人間だけを絞り込もうとしている。試用期間中に新人教育と称して暴力行為・しごきを行ったり、過重なノルマを与えたりして絞り込もうとしている。
  • 試用期間が長すぎる。解雇されやすく、給与が低く抑えられる。
  • 内定通知を出しておきながら、年度が替わる前に研修などを行い、働きがよくなければそこで内定を取り消す。

(10)退職者

  • 退職者の多くが勤務履歴を隠したり、勤務した事実自体を否定している。
  • 退職者の多くが勤務中に発症したうつ病やなどに、退職後も長期間にわたり苦められている。
  • 退職者がその企業が関与する製品やサービスを一切購入しない。知人が購入しようとした場合も制止しようとする。
  • 会話において、退職者がその企業自体をそもそも「最初から存在しなかった」という扱いにして、触れない。語ったとしてもネガティブな内容に限定される。

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