昨年6月4日の恵比寿リキッドルームでのライブを最後に活動休止を宣言していたSpangle call Lilli lineが、充電期間を経てこの秋再始動。9月にリリースした7曲入りのEP「New Season」では、バンド史上最速とも言えるBPMの爽快な轟音ギターロックで、さらにリスナーの幅を広げている。そんな”攻め”のスパングルが見られる一方で、10月6日にリリースした「Piano Lesson」では、元・空気公団の小山いずみをゲストに迎えて全編ピアノアレンジのセルフカバーを発表。好対照な2作品について、メンバーの大坪加奈(Vo)、笹原清明(G)に話を聞いた。
――EP「New Season」について
- 大坪加奈(以下O)
- 活動休止からこんなに早く、新しい作品を出せるとは思っていなかったので、私と笹原君はいつも通りノープランでした(笑)。そこで、(藤枝)憲さん(G)が、やりたいアイデアがあるって持ってきて。
- 笹原清明(以下S)
- 今回のテーマは「若返り」です(笑)。参考音源として、憲さんからYouTubeのリンクがたくさん貼られたメールが送られてきて。15年くらい前の、轟音のバンドが多かったですね。憲さんはとにかく轟音がやりたかったようで。でも、My Bloody Valentineっぽい感じではなかったですが。
- O:
- それで、大体の方向性が決まって、デモを録ってみたという流れです。
- S:
- デモ自体は、その方向性が決まる前に3人それぞれが作っていました。憲さんと大坪さんのは、今までのスパングルっぽいデモだったから、どうしても若いフレッシュな感じにはならなくて(笑)。で、後出しの僕のデモが一番イメージに近かったので採用されて。それがリード曲の「seventeen」です。
- O:
- レコーディングまでのリハは、結局2回くらいしかやっていなくて、あとはほとんどデータのやりとりでイメージを膨らませていきました。ふだんは、私の声が小さいので、声が聴こえるように小さな音でリハをして曲作りをするのですが、今回は私がそのときにいなかったから、爆音の曲になったんじゃないかな(笑)。
- S:
- ギターソロも初めて入れたんです。いっぱい考えてきたんだけど、うまくいかなくて、スタジオで何度もやり直しました。だから、初めてなのにアドリブのソロなんですよ(笑)。
- O:
- BPMも速いし、こういう感じの音楽を自分が今までに通ってきていないのもあって、どういうメロディが合うのかイメージできなかったんです。それが逆に良かったところもあるかもしれないですけどね。何度も試行錯誤して歌い直してできた曲で、とても新鮮でした。
- S:
- すごく、フレッシュな曲になったよね。アンチエイジングですね(笑)。これを聴いたら若返るみたいな。
Spangle call Lilli lineのリハーサル風景。
- O:
- 「seventeen」というタイトルに関しては、自分たちの17歳の記憶というよりは、その時期の人たちの衝動とか、若々しさが溢れてるイメージでしたね。途中から、このタイトルに決まっていたよね?
- S:
- うん。セブンティーン的なイメージの曲にしたいと思っていたから。仮で付けたものがそのまま採用になりました。初めて、曲に意味のあるタイトルをつけたかもしれないね。今までは、辞書の中から語感や響きがよかったものを選んでいたので。過去のスパングルを断捨離した、初めてづくしの作品です(笑)。
- O:
- スパングルの曲だとわからないところがいいですよね。短いから、ラジオとの相性も良さそうだし。17歳って、子供と大人の間じゃないですか。ピュアな部分もありつつ、大人になる途中の微妙なバランスですよね。やりたいこともいっぱいあって、甘酸っぱい時期ですよね。自分の17歳は……ラジオから流れてくる洋楽を聴いてましたね。友達から借りたSqueezeとか聴いてたかな。歌声が好きだったんです。笹原君は?
- S:
- 僕の17歳は、尾崎豊かな(笑)。思春期なので、結構影響を受けました。僕が高2のときに、伝説の27歳(ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョップリン、カート・コバーンら、27歳で早すぎる死を迎えるミュージシャンが多いことから)で亡くなったんですよね。たぶん、他のメンバーとは全然違う音楽を17歳の頃に通ってきたと思います。今までのスパングルは、同世代に向けて音楽を作ってきたと思うんですけど、今回はもっと思春期の10代や、20代のリスナーにも聴いてもらえる曲になったと思います。
- O:
- 2曲目の「for rio」も若返ったね。「rio」はもう何度もカバーしている曲で、今回で4回目になります。自分たちにとって大事な曲なのはもちろんだけど、アレンジしやすくて、どうにでも料理できるタフな曲なんです。めざせ10回カバー?
- S:
- サンバとか? リオ・デ・サンバ、いいですね(笑)。
――「Piano Lesson」について
- S:
- もう1枚の「Piano Lesson」は、2年前に僕の写真展の会場で、ピアノアレンジのアコースティックライブをやったことが発端になっています。そのときの音がとてもよかったので、録音しようということになって。
- O:
- 実は、歌とピアノは2年前に録音したものなんです。それにいろんなアレンジを加えていきました。1年半ほど前にはもう完成していて、いつか出そうと思っていた音源なんです。「isolation」のときも、ピアノをコンセプトにして録音しましたが、弾いている方が違うので、まったく違うサウンドになりましたね。
- S:
- 前回は、クラシックの方に弾いていただいたのですが、今回は元・空気公団の小山いずみさんに弾いていただきました。ポップスを通っている方なので、全然アプローチが違って面白かったですね。
- O:
- 小山さんはピアノを弾いているんだけど、もっと音で包み込むような感じでしたね。
- S:
- さらにギターとバイオリンを後から録って、リズムもミックスをしてくれたエンジニアが後から足してくれたんです。
- O:
- 最初は歌とピアノだけのシンプルな状態で録っていたので、完成形を聴いて驚きましたね。
- S:
- 今までは、最初にコンセプトがあってから作り始める作品ばかりだったのですが、今回は出発点がライブだったので、それを素直にいい形に仕上げた作品ですね。今の音楽の流行とか、マーケティングを意識したものではないので、いつ聴いても楽しめる作品になっていると思います。音楽をもう聴かなくなってしまった大人の方にも聴いていただきたいなと思います。
11月16日には、活動停止前のラストライブをパッケージしたDVD「SCLL LIVE2」のリリースも予定している。これまでに発表した82曲の全曲歌詞集とのセットで、完全限定生産のため、ぜひ手に入れておきたい。
- 01.「New Season」
Spangle call Lilli line
¥1,600 felicity
- 02.「Piano Lesson」
Spangle call Lilli line
¥2,300 felicity
- 03.「SCLL LIVE2」
Spangle call Lilli line
¥3,500 felicity