2013-'14 A/W PARIS HAUTE COUTURE

新たなクリエーションに果敢に挑戦するデザイナーたち。 23 AUG. 2013

TEXT MARIKO MITO(B.P.B. PARIS)

 2013-'14秋冬オートクチュールコレクションが、6月30日から6日間に渡り開催された。

 オートクチュールを支えるのは、顧客であり、メゾンとアトリエの職人だが、その数だけで存在価値を語れるものではない。戦後、衰退の一途を辿ったクチュールメゾンは、1946年から'67年までの間に106から19に減少し、'43年に2万人を数えていた顧客は'90年には200人まで落ち込んだ(注1)。だが、現在まで必要とされ、モードの最高峰であり続けていることに違いはなく、規模より質の高さが注目されるべきだろう。今季を通して強く感じたのは、新たなクリエーションに果敢に挑戦するデザイナーたちの意欲と探究心だった。若手は経済的な厳しさに直面しながらも新作を発表し、才能をアピールすることでステップアップの道を切り開いている。老舗メゾンを背負うデザイナーは、プレッシャーを抱えつつも伝統とクリエーションを両立させたコレクションを作り続け、顧客の心を掴んでいるのだ。見た目のインパクトよりも、ディテールのデザインやマテリアルが重視され、実用性が求められているのが今のモードの傾向で、オートクチュールにも同様なことが言える。その為、しばしば、オートクチュールのプレタポルテ化と辛辣に評されているが、実のところ、同じメゾンの中で二つのアトリエがはっきり分かれているように、その製造過程は全く異なるのである。ましてや隠れた部分への拘りや手仕事は同一視されるべきではなく、贅を尽くした一着は、オートクチュールゆえに生まれるのである。

左は、アンヴァリッド(廃兵院)の敷地に特設されたクリスチャン ディオールのテント。右は、シャネルのショーが行なわれたグラン・パレ。トップの写真は、クリスチャン ディオールのショー。舞台の壁には、新作のドレスを着用したモデルやバックステージの巨大な写真が映し出された。

 今シーズン、公式スケジュールに参加したのは23メゾン(会員は15、招待会員は8)。5日目はこれまで通り、ヴァンドーム広場を中心としたジュエラーが展示会を催し、最後の2日間には、新しい試みとして、ルサージュ(刺繍)、マサロ(靴)、ルマリエ(羽飾り)、コース(手袋)、ゴッサンス(金銀細工)など、モード界を支える職人の工房を紹介するイベントも行なわれた。さらに今回は、ブランド設立20周年のヴィクター&ロルフが13年ぶりに復帰、スキャパレリはクリスチャン・ラクロワをデザイナーに迎えてコレクションを発表し、ファッションウィークを盛り上げた。

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13年ぶりにオートクチュールへ復帰したヴィクター&ロルフのショー。枯山水が黒いドレスで見事に表現されている。左の写真は、座禅を組むデザイナーのヴィクター・ホルスティンとロルフ・スノエレン。

 メンズコレクションが終わった同日夜、先陣を切って行なわれたのは、ヴェルサーチのショーである。スーパーモデル、ナオミ・キャンベルで幕を開けたステージには、肌を覗かせた大胆なカットのドレスが続き、グラムールな女性像が描かれていた。2日目の注目株は、ラフ・シモンズが手がけるクリスチャン ディオール。国際色豊かな顧客からアイディアを発展させ、ヨーロッパ、アジア、アメリカ、アフリカをイメージした、カラフルでグラフィカルなコレクションである。3日目のシャネルは、荒廃した劇場をイメージした会場でのショー。光沢感のあるツイードとモダンなシェイプが、フューチャリスティックなムードを漂わせていた。4日目のメゾン マルタン マルジェラは、過去の服や素材を用いた独自の手法で、コンテンポラリーなシルエットを表現。アンティーク衣装を部分的に使ったアンサンブルなど、独創性に富む作品が披露された。若手では、昨年末にオートクチュール会員になったアレクシ マビーユが、画家ジョバンニ・ボルディーニの絵画の女性からインスパイアされたコレクションを発表。招待会員のイーキン インは海の生物をモチーフにした幻想的なドレスを披露し、観客から大きな拍手が送られた。

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上段左は、シャネルのフィナーレ。ステージにモデル全員が並び、カール・ラガーフェルドが登場した。右は、メゾン マルタン マルジェラ。下段左は、イーキン イン。右は、アレクシ マビーユ
注1......参考文献:ディディエ・グランバック著『モードの物語』文化出版局



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