2013-'14 A/W NEW YORK COLLECTIONS

対極的な二人のデザイナーが話題を集めたニューヨーク。 14 MAY. 2013

TEXT TERUYO MORI

 ファッションウィークが始まる前にニューヨークで話題になったのは言うまでもなくバレンシアガのクリエーティブディレクター、ニコラ・ゲスキエールの後任に抜擢されたアレキサンダー・ワンと、「designer in residence」という肩書きでオスカー デ ラ レンタのアトリエにやってきたジョン・ガリアーノ。気の早い人たちは彼がデザイナーに就任か? 今回のコレクションはガリアーノによるデザインか? と、注目度が増してランウェーショーは満員札止め状態。フィナーレには御大デ・ラ・レンタと共にガリアーノが登場するのではないか? それともフロントローに座るのか? と、さまざまなが憶測が流れたが、いずれもハズレ。結局、彼は黒子に徹し、バックステージでショーを見守っていたという。後日、アメリカの「WWD」(2月20日付け)のモデルのインタビュー記事には、ショーのフィッティングにガリアーノが同席し、最終チェックをデ・ラ・レンタと共に行っていたと告白。今回のデ ラ レンタのコレクションはガリアーノのテーストが随所に感じられる仕上がりだったが、いずれにしても最も得をしたのはデ・ラ・レンタ自身。コレクションの評価も高かっただけではなく、PR効果は100点以上でニューヨークにデ・ラ・レンタあり! と評判だった。

 一方のアレキサンダー・ワンは、どういう理由か分からないが、ニューヨークのベテランジャーナリストたちから辛口の評価が多く、バレンシアガへの就任が決まった直後から「Tシャツを作るデザイナーにバレンシアガのメゾンが任せられるはずがない」と、にべも無い発言が相次いだ。ワンならではのストリート感覚と、彼と同世代へのたぐい稀なアピール性は軽く受け取られがちだが、彼の素材開発への情熱的な姿勢や見えないディテールへの拘り、クリエーティブとコマーシャルのバランス感覚の良さは、同時代のデザイナーの中では飛び抜けている。ニューヨークとパリで発表したそれぞれのコレクションの後には、辛口の批評が減り、バレンシアガでの活躍を期待する声が多く聞かれたことで、本人も励みになったはずだ。

 さて、今シーズンの最大の特徴は上半身、中でも肩にポイントを置いたオーバーサイズのプロポーションだ。丸みを帯びた大きな肩とゆったりとした大きめのアームホールのビッグショルダーというと1980年代を思い出すが、その中で最も美しく新鮮に表現されていたのがプロエンザ スクーラーだ。弧を描くような優美な曲線のショルダーラインのジャケットはビッグでも女性らしさが溢れ、しかも'50年代のモダニズムの雰囲気も醸し出していて、このブランドの2人のデザイナーの力が発揮されていた。

2013-'14 A/W NEW YORK COLLECTIONS2013-'14 A/W NEW YORK COLLECTIONS
上の写真は、プロエンザ スクーラーのコレクション。ラウンドしたジャケットのフォルムがユニーク。トップの写真は、上段がオスカー デ ラ レンラ、下段がアレキサンダー ワンのランウェーショーより。

 ショルダーだけでなくオーバーサイズを上手く表現したのはアレキサンダー・ワンのゆったりとしたシルエット。ストレートなシルエットのコートもバレンシアガのエスプリを感じさせるバレル型のシルエットにしたコートやドレスもほど良いオーバーサイズに仕上がっていた。その他、ビッグなショルダーラインを男っぽいミリタリースタイルで表現しながら、ヘルムート・ニュートンの写真のようにセンシュアルなムードを出していたカルバン・クライン コレクションのコートやジャケット、オーバーサイズの太い袖が新鮮なマーク ジェイコブスのコート、'80年代のビッグシルエットを現代的に再現したマイケル コースのジャケットなども印象に残った。

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写真左は、ミリタリーコートのようなマニッシュなデザインに特徴のあるカルバン・クライン コレクション。PHOTO DAN LECCA 中は、マーク ジェイコブス、右はマイケル コースのコレクションより。

 今シーズンの素材では表面を毛羽立たせたものや、毛皮使いなどファジーな感触の素材やキルティングなど、テクスチャーの面白さを見せる作品が多くみられた。また柄では、チェックが印象的だ。中でもトミー ヒルフィガーのチェック満載のコレクションは圧巻で、プレッピーなスタイルと英国調のテーラードスタイルが新鮮なアメリカンルックをクリエートした。色は、全体的に黒やチャコールグレーなどダークトーンに終始したが、差し色として'80年代を思わせるイエローやオレンジを使ったコレクションも多く見られた。しかし、最も新鮮に映ったのは、3.1 フィリップ リムのピンクで、このデザイナーが意図する肩の力を抜いたエレガンスがピンクという色を通じ上手く表現されていた。

2013-'14 A/W NEW YORK COLLECTIONS

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左の4枚は、グレンチェックやアーガイルなどを大胆に使ったトミー ヒルフィガー。トラディショナルなアイテムをベースにしつつも、可愛らしい雰囲気にまとめらている。右は、3.1 フィリップ リムのコレクション。

 一方、メンズは、ボマージャケットなどアビエーターブルゾンをベースにしたカジュアルなアウターが多く見られ、色ではオレンジが目立った。アビエーターブルゾンでは、N. ハリウッドのアイテムが秀逸で、'30年代のレトロな雰囲気が今の感性に響くコレクションとなっていた。人気のラグ & ボーンが今回限りでニューヨークからコレクションの発表の場をロンドンに移すことになったが、メンズをこのファッションウィークにレディスと平行して行うこと自体への疑問の声は高まりつつあり、ニューヨークのメンズデザイナーたちの多くがコレクションの発表の時期と場所の選択を迫られている感が強い。

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ラグ & ボーンのメンズコレクションのフィナーレに登場したデザイナー、マーカス・ウェインライト(写真右)とデヴィッド・ネヴィル(左)。


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