2014 S/S LONDON MENS COLLECTIONS

着々とイベント価値を高めるロンドン・メンズ。 13 JUL. 2013

TEXT MINA WAKATSKI

 3回目を迎えた「ロンドン・コレクションズ:メン」が6月16日から3日間に渡って開催された。「イタリアの業界関係者がロンドンの成功に脅威を感じている」とロンドン在住のイタリア人ジャーナリスト。前夜に行われたドルチェ&ガッバーナのメンズショップのオープニングパーティーで、そんな話が交わされたという。「ロンドンって本当にすごいわ。目が離せないことがいっぱい」と興奮を隠さなかったのは、デビュー間もないブランドの合同インスタレーション、ファッション・イースト・メンズウェアの会場から出て来た女性ジャーナリスト。サヴィル・ローのテーラーやセント・ジェームス界隈の帽子や靴の老舗による合同プレゼンテーションの会場では、「こういうのを見ると、スーツってやっぱりいいと再認識する。モデルたちが本当にかわいい」と、日本のジャーナリストたちの会話が弾んだ。その会場はスポーツの殿堂の1つ、ローズ・クリケット・グラウンド。広い芝生のグランドを見渡すベンチ席に、パステルカラーのスーツのモデルがリラックス気分で座っていたり、お屋敷風の室内ではライトグレーのスリーピース姿のモデルがディナーテーブルを囲んでいる、英国ならではの演出がスーツを引き立てる。
 1年前の発足時は、はたしてどうなるものかと行く末を危ぶむ声も聞かれたロンドンのメンズコレクションだが、予想以上のスピードでイベントとしての価値を高めている。当初指摘された「著名英国デザイナーがいない」という一番の問題点は、あっさりと解決されつつある。前回のアレキサンダー・マックイーンの参加に続き、今回はバーバリー プローサムもロンドンでの発表に踏み切った。ポール・スミスはメーンコレクションはパリで見せたが、テーラードライン「ザ・ブリティッシュ・コレクション」のプレゼンテーションをサヴィル・ローのギャラリーで行い、老舗生地メーカーのクリソルドとのコラボレーションによる英国旗を浮かび上がらせたヘリンボーンのスーツなどをそろえた。ハーディ エイミスはその形からガーキン(キュウリのピクルス)の愛称で知られるシティのアイコニックな高層ビルのガラス張りの最上階で、夏のワードローブを完成させる12スタイルを披露。前回に続き自社ショールームでデザイナー自らが一着一着を説明するプレゼンテーションを行ったトム フォードは、レディス同様に、これまで発売直前まで公開しなかった写真をメディアに配った。そしてラグ & ボーンの初参加。アメリカのブランドとして成功を収めているが、実はデザイナーの2人は英国人。こちらも言ってみれば凱旋ショーと言える。

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トム フォードは、鮮やかな色でみせる1970年代風のコレクションを披露。トップは、サヴィル・ローのテーラーやセント・ジェームスの老舗ブランドの合同プレゼンテーション。テーマごとにいろいろなブランドの服を着たモデルが勢ぞろい。
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01 サヴィル・ローのギャラリーで、ひと捻り効かせた素材でみせるテーラードラインを紹介したポール・スミス。02 ハーディ エイミス。ロンドンを一望するガーキンの最上階で新作を披露。03、04 ファッション・イースト・メンズウエアで発表した注目のブランド。左は、花柄のスポーティーウェアをそろえたジョセフ タービー。右は、プリント溢れるポップな新作を見せたキット ニール。これからが楽しみな新人。

 若手の活躍も見逃せない。シグネチャーのニットに加えデニムを前面にパワフルなアメリカンスタイルを見せたシブリング、ピンクのオーガンジーやシフォンといったフェミニンな透ける素材を多用しながらも、スポーティなカジュアルスタイルを打ち出したショーン サムソン、合同ショー「マン」に初参加したボビー アプレイのメルヘンチックなスタイルも印象的だ。そして注目のJ.W.アンダーソンは、チュニック丈のノースリーブのトップとワイドパンツをベースに、不可思議な布のひねりや唐突なディテールデザインで、既視感のない独特のクリエーションを見せた。ホルターネックのブラウスのようなトップなど、レディスとしか思えないようなアイテムも健在。女装ではなくジェンダーレス。つまり、従来スポーツカジュアルの枠に閉じ込められていたユニセックスの概念を覆し、ドレッシーなものでさえも男女が同じデザインを着るという性差の垣根を越えた服の追求。このブランドが1年前から果敢に挑戦してきたその姿勢は、もやはロンドン・メンズ、そして他都市のコレクションにも波及した大きな流れになっている。だから、前述のショーン サムソンのピンクのオーガンジーウェアやアレキサンダー・マックイーンの白いレースや花刺繍のスーツも、いとも自然に受け入れられる。

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 そうした女子化の流れと並び目を引いた傾向は、同じ柄のトータルコーディネートだ。2013春夏シーズンから上下同じ柄のセットアップは広がっているが、今シーズンは上下だけでなく3ピースや4ピースの服、さらには帽子や靴、スカーフやバッグなどの小物まですべて同じ柄にしてしまう手法が新しい。クレイグ グリーン、ケイティ アーリー、KTZなどちょっぴり毒のあるデザインのブランドがこれでもかとばかりに出している。
 柄だけでなく、色も鮮やかだ。爽やかな白、そしてピンクやブルー、グリーン、イエローのパステルカラーがハッピーな気分を盛り上げる。代表はバーバリー プローサム。作家のアラン・ベネットと画家のデイヴィッド・ホックニーを讃えたコレクションは、インナーはすべてシャツにネクタイでありながらも、いつになくカジュアルでリラックスしたムード。ソフトな素材と丸みのあるショルダーのイージーウェアに溢れるソリッドカラーを採用し、「かわいい」という表現がぴったりのピュアな世界をアピールしていた。
 アイテムでは、ボトムは相変わらずショートパンツが人気だが、アウターに変化が見られた。これまでのバイカージャケットに変るブルゾンとして、MA-1タイプのフライトジャケットが浮上。それも、イエローやブルーの奇麗な色をのせた光沢のあるものが多い、ジョナサン サンダースなどが前面に出している。

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01 バーバリー プローサムのショーのフィナーレ。02 今回もプレゼンテーションで新作を発表したジョナサン サンダース。得意のプリントを駆使したオプティカル柄のシリーズと共に発表した、鮮やかな色のサテンのフライトジャケットがレトロな雰囲気。 03〜06 同じ柄のトータルルックをみせた若手たち。03、04 KTZ 05 クレイグ グリーン 06 ケイティ アーリー

 初回はチャールズ皇太子、2回目はデービッド・キャメロン首相がそれぞれレセプションパーティーを主宰した。今回はそうした宮殿や首相官邸といった場所でのパーティーはなかったが、ロンドン市長のボリス・ジョンソンが登場し、サヴィル・ローで記念撮影を行った。そこでは、その界隈のメンズウェアの老舗やデザイナーショップの紹介と、その地図がメンズウェアのキーアイテムの解説と共に紹介されたリーフレットが配られた。これを片手に、ロンドンのメンズウェアの要所を自ら歩いて回ってくださいというわけ。自転車でロンドンの街を走り抜ける市長にぴったりの企画だ。ちなみに、この時のスーツはサヴィル・ローのものだがブランド名は明かしていない。ネクタイは大手チェーンストア、マークス&スペンサーのものらしい。

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サヴィル・ローでモデルに囲まれて記念撮影を行ったロンドン市長、ボリス・ジョンソン(右から4人目)。郵便ポストを挟んで英国ファッション協会会長のナタリー・マセネットとロンドン・コレクションズ:メン議長のディラン・ジョーンズ。



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