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Ann Suzuki

Interview / Stage Anne Suzuki

実力派女優7人による舞台「トップ・ガールズ」に出演する、鈴木杏。

2011.02.21 update | STAGE

ステージ・オン・ライン
#05 鈴木杏
渡辺美和子(演劇ライター)=文
text:Miwako Watanabe
photographs:Josui(B.P.B.)
styling:Mari Ai
hair&makeup:Hiromi Sasaki

写真上は、大物女優たちとの共演にも臆することもなく、豊かな演技力で観客を魅了し続ける鈴木杏。

シルクシフォンのトップス¥58,800(参考価格)Kristina Ti(PR01.) / ゴールドのリボン型ピアス¥5,985、ゴールドとシルバーの星形ブレスレット¥6,090 joujou / ピンクゴールドのパールつきネックレス¥16,275、ピンクゴールドのブレスレット¥28,350 flake
PR01.(press room) tel.03-3406-0430
joujou tel.078-393-8036
flake tel.03-5833-0013

この人が出るならぜひ観たい。『Top Girls』にはそんなファン垂涎の女優が、なんと7人も勢揃いする、女優だけの舞台だ。寺島しのぶ、小泉今日子、渡辺えり、池谷のぶえ、神野三鈴、そして麻実れい...。華も実もある女優たちがきら星のごとく並ぶこの公演に、鈴木杏は最年少で参加する。
しかし鈴木杏、現在23歳(もうすぐ24歳)とはいえ、デビューは9歳、初舞台は15歳と、芸歴はすでに15年。初舞台『奇跡の人』のヘレン、『ハムレット』のオフィーリア、『ロミオとジュリエット』のジュリエットと極めつきぞろいの少女役を経て、長塚圭史の『SISTERS』では父と近親相姦する娘という難役に説得力をもたせ、2回目の『奇跡の人』では先生のサリバンを「小娘」として造形し、『ムサシ』では初々しさのなかにも芯のある演技で強い印象を残した。一作一作着実に力を蓄え、すでにベテランの風格すら漂う。そんな鈴木が今回はどんな顔を見せてくれるのか。稽古を前にした心境を聞いてみた。

物語は、男たちとの激烈な出世競争を勝ち抜いたロンドンのキャリアウーマン、マーリーンの昇進祝いの席に、時空を越えて古今東西の歴史や芸術作品に名を残すヒロインたち、"トップ・ガールズ"が集まってくるところからはじまる。彼女らは我先に自分の数奇な運命や出会った男たちについて語りはじめ、史上最大のガールズ・トークが展開される。やがて舞台はマーリーンが実際に生きる現実社会となり、ヒロインたちは今度は彼女の家族や同僚たちとして登場し、マーリーンの現実の人生に絡んでくる。いつの時代にも、女性は男性社会で多くの試練を課されてきた。それは現代でも同じこと......。
英国初の女性宰相マーガレット・サッチャー政権下のロンドンで1982年初演され、斬新な劇構造と7人の女優たちが16の役を演じる風刺に富んだメッセージ性が高く評価された作品だ。鈴木杏は、中世の「カンタベリー物語」に登場する貞淑な妻・グリゼルダ、そしてマーリーンの同僚などを演じる。

——
豪華なメンバーですね。
鈴木杏(以下S)
呼んでいただけてありがとうございます、という気持ちです。すばらしい女優の方々と同じ空間で、稽古を1か月、本番を1か月、いっしょにやれるわけですから。小泉今日子さんとは、17のときに『空中庭園』という映画で親子役をやらせていただいて、その後も何回かご一緒して、いつかいっしょに舞台をやってみたいね、という話もしていたので、それがかなってうれしいです。ほかの方はみなさん『初めまして』ですが、大好きな、観ていて興奮させてもらえる女優さんばかりですから、その中に入れてもらえるのは、ほんとうに楽しみなので、不安はありません。楽しい稽古場になるんじゃないかな。実はいろいろな人、とくに男性から『杏ちゃん、次、怖いのやるよね』とか言われました(笑)。これだけの女性が集まって稽古場がスムーズにいくわけがないと思うみたい。でも共演のみなさん、男前でサバサバなさっている方ばかりで、女同士で云々ということは絶対ないと思ってます。演出の鈴木裕美さんもさっぱりした男前の方だから、楽しくなるに決まってます。
——
鈴木裕美さんとは、初舞台の『奇跡の人』からのおつきあいですね。
S:
はい。一昨年の2回目の『奇跡の人』でもご一緒させていただいき、今回また演出を受けられるので、いまからワクワクしています。裕美さんの演出は、楽しいですよ。言葉をちゃんと置いてくれる方で、その人にいちばん伝わりやすい言葉でていねいに教えてくださる。私は、その言葉を選んでるときの裕美さんの葛藤を見るのが好きでして。『こういうことなんだけど』って言って、伝わってないとみると『ちょっと待って、ちょっと待って』って言いながら、額を指でコツコツたたいて言葉を出そうとするんです。それに裕美さん、いちばん楽しそうに稽古を見てくださる。いちばんニコニコしてるし、いちばん観客の立場で見てくださる。だから心強いし、安心できます。裕美さんほど一つ一つの役を愛する人、なかなかいないんじゃないかな。隅々まで誰一人落とさないですからね。作品に出てくる人、みんな大好きなんです。
——
戯曲を読んだ感想は?
S:
世の中にはおもしろい戯曲があるな、舞台でしかできないタイプのお話だな、って感じました。私が演じるグリゼルダは、夫である侯爵にひたすら試され続け、夫に従い続けて、何回言うんだろうってぐらい『侯爵さま』『侯爵さま』って(笑)言ってます。でも誰一人としてほかの人の話を聞いてない、みんな自分のことだけを勝手にしゃべっているようなホンでしてね。台本に"かぶせて言え"とかいう指示があるんですよ。人のセリフにかぶせながら自分のセリフを言うなんて機会はあまりないですし、みんな勝手にしゃべるわけだから、稽古では混乱必至ですね。
——
稽古までしばらくありますが。
S:
まずセリフを覚えなくちゃ。でもその合間には、いつものようにお芝居を観たり、映画を見たりするでしょうね。私、お芝居も映画も、観るのも大好きで、それだけでお金がなくなっちゃうんじゃないか、ってぐらいよく観ています。たぶん観るのが好きだから俳優をやってるし、やるのが好きだから観てるんですね。最近観たお芝居では『大人は、かく戦えり』がおもしろかった! 今回もそうなると思うのですが、大人の、しかも大竹しのぶさんや段田安則さんのような名だたる俳優さんたちが、舞台上で好き勝手やって、しかもそれを楽しんでいる様を観るのは、観る側としてすごく気持ちがいいですね。私、大竹さんに『やりたい放題暴れてましたね』って言っちゃいました(笑)。
——
お芝居が仕事で趣味。この仕事をしていて、よかったですね。
S:
そうですね。子どものころからこの仕事をはじめて、いままでほかの仕事を考えたことは、あまりなかったですね。二十歳ぐらい、大学に入るか入らないかのころ、あまりにもほかの職業のことを考えてこなかったから、それはどうなんだろうと思ったことがあったんです。でも、やっぱりお芝居がいちばんおもしろくて、他の道に進むということは考え切れなかったです。
——
ほかに趣味はありますか?
S:
ないですね。スポーツとかなにかしたいとは思うんですけど、基本的に腰が重いので、なにかやり出すまですごく時間がかかるんです。セリフも、覚えようと台本を開くまでに時間がかかるし。何事も、やり始めたらそれなりに没頭するし、習得するのも早かったりするんですが。いまは、家でのんびりして映画のDVDとかを見て、ときどき劇場に行くのがいちばん。あと好きなのは歩くことかな。駅まで行って、改札通ってというプロセスが面倒くさいときがあって、それなら歩けばいいと。1時間半とか2時間とか平気で歩きますよ。
——
それでは、鈴木さんにとってお芝居のおもしろさは、なんですか?
S:
「違う」ところ。ふつうの生活とぜんぜん違うところに行けることかな。ふつうの生活でこれやったらぜったい怒られるなぁみたいなことをやっても、喜ばれるし(笑)、暴言はいてもOK。ふだん自分のなかに抑えてるものをお芝居で消化してるのかな、そんなふうに感じてます。

最後にこの作品に対する抱負を聞いたら「すごく楽しみ。ぜったい楽しくなると思っています」と力強い言葉が返ってきた。お芝居が仕事で趣味という幸福な人。時間があれば劇場や映画館に、車より電車、そして歩きで通う。「車も運転しますけど、都内は駐車場が面倒くさいし、高いじゃないですか」...地に足がついている。だから、跳べる。若き演技派の根っこが見えた気がした。

Ann Suzuki Anne Suzuki
1987年東京生れ。9歳の時に「金田一少年の事件簿(第2シーズン)」でドラマデビュー。以来、数々のドラマ、映画、舞台などで着実に経験を積み、23歳という年齢でありながら実力派女優として定評がある。ドラマ「がんばっていきまっしょい」(2005)「遥かなる絆」('09)、映画「花とアリス」('04)「吉祥天女」('07)、舞台「奇跡の人」('03、'09)「ハムレット」('03)「ロミオとジュリエット」('04)「SISTERS」('08)「ムサシ」('09、'10)などに出演。映画待機作は「まほろ駅前多田便利軒」(4月23日公開)、「軽蔑」(6月4日公開)。

Ann Suzuki SISカンパニー制作
『Top Girls』トップ・ガールズ
作:キャリル・チャーチル/翻訳:徐 賀世子/演出:鈴木裕美
出演:寺島しのぶ 小泉今日子 渡辺えり 鈴木杏 池谷のぶえ 神野三鈴・麻実れい
2011年4月1日〜24日
Bunkamuraシアターコクーン(東京都渋谷区道玄坂2-24-1 tel.03-3477-3244)
お問合せは、シス・カンパニー、tel.03-5423-5906へ。
www.siscompany.com

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