20世紀モードとシルエットの変遷 1900-2000

『装苑』2007年10月号
横田尚美=文 中川清美=イラストレーション
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ファッションスタディ 装苑アーカイブ 1970

ファッションスタディ 装苑アーカイブ KENZO

フランスで1968年に五月革命が起きると、立ち上がった大衆を見たバレンシアガは、もう特権階級のためのオートクチュールの時代は終わりだと店を閉じる。一方、高田賢三や三宅一生は、一般の人々向けのファッションが主流になると実感。高田は2年後、パリにブティックをオープン。ヒッピーの生き方に共感し、民族服の平面性に緩やかさを、色や柄合わせの妙に重ね着のおもしろさを見出だし、独自のスタイルを作り上げた。三宅は、1976年に「一枚の布」を発表してからずっと、やはり民族服に共通するこの普遍的なコンセプトにこだわり続ける。1977年には森英恵がアジア人で初めてオートクチュール組合に加盟。日本人の活躍はパリのファッションビジネスが異文化だけでなく、異文化の血を必要とするようになった証しだ。
1970年代半ばには、再びウエストマークしたコンサバティヴなファッションが復活。高級ブランドも大衆化を進め、人気となった。一方不況にあえぐロンドンでは、マルコム・マクラーレンとヴィヴィアン・ウエストウッドがパンクファッションを仕掛ける。

ファッションスタディ 装苑アーカイブ イッセイ ミヤケ

イッセイ ミヤケ
1976年 春夏コレクション
写真:文化学園ファッションリソースセンター蔵
直線裁ちの一枚布で作られたビッグドレス。

ケンゾー
1973-1974年 秋冬コレクション
写真:文化学園ファッションリソースセンター蔵
花柄や格子柄など様々な柄や素材をミックスしてレイアードによるフォークロアファッションを発表。右は「ルーマニアルック」、左のイラストは1975-1976年秋冬の「中国ルック」。

ファッションスタディ 装苑アーカイブ ケンゾー
ファッションスタディ 装苑アーカイブ イッセイ ミヤケ

ペーパードレス
1968年ごろ
文化学園服飾博物館蔵
大量生産大量消費の社会を反映させた、不織布にプリントを施したドレス。

ルディ・ガーンライヒ
ドレス 1968年
文化学園服飾博物館蔵
数種の活字をランダムに並べたドレスは、ポップアートとファッションが融合した作品。素材はスパンデックス。ルディ・ガーンライヒは、オーストリア生れ。1938年米国に移住。1964年自社設立以来、「トップレス水着」「ノーブラ・ブラ」などを発表。ボディコンシャスの概念をいち早く提示。1970年代にはユニセックスファッションを打ち出すなど常に前衛的作品を生み出した。

ファッションスタディ 装苑アーカイブ ケンゾー

ファッションスタディ 装苑アーカイブ 1980

ファッションスタディ 装苑アーカイブ Jean Paul Gaultier

1980年代にはキャリアウーマンの中からエグゼクティヴウーマンが登場。ティエリー・ミュグレーやクロード・モンタナらが、女らしいが肩を強調して強さを表現した「パワースーツ」を手掛けた。ゆったりとしたリッチなスーツでは、ミラノのジョルジオ・アルマーニや急逝したジャンフランコ・フェレ、ニューヨークのデザイナーたちが人気だった。ジャンポール・ゴルチエらは、下着を表に引っ張り出すことで媚びない女らしさを表現。アズディン・アライアはストレッチ素材を有効に生かすカッティングによって、ボディコンシャスに女性のからだをなぞり、独自の女らしさを表す。
一方ジェンダーレスで無機質な服作りで一時代を画したのが、川久保玲と山本耀司だ。彼らのコンセプチュアルな物づくりの姿勢は、1980年代の終わりに登場するマルタン・マルジェラや「アントワープ6」、アレキサンダー・マックイーンやジョン・ガリアーノらに影響を与える。三宅は、1980年代終わりから「一枚の布」の発展形としてプリーツに取り組み、デザイン性を持ったマスプロダクションの開発に力を注ぐ。
また、高級ブランドブームの中で、巨大金融資本によるブランドの再編が始まる。

ファッションスタディ 装苑アーカイブ コム デ ギャルソン<

コム デ ギャルソン
1982年 春夏コレクション
写真:文化学園ファッションリソースセンター蔵
1980年代を象徴するビッグシルエットの穴あきドレス。

ジャンポール・ゴルチエ
1982年 春夏コレクション
写真:文化学園ファッションリソースセンター蔵
バストを誇張したコルセットなど、下着をアウターとして楽しむデザインが発表された。

ファッションスタディ 装苑アーカイブ ジャンポール・ゴルチエ
ファッションスタディ 装苑アーカイブ クロード・モンタナ

クロード・モンタナ
1979-1980年 秋冬コレクション
写真:文化学園ファッションリソースセンター蔵
肩を広く強調したパワースーツは、1980年代のシンボル。

ティエリー・ミュグレー
1979-1980年 秋冬コレクション
写真:文化学園ファッションリソースセンター蔵
肩パッドをつけてウエストを絞ったボディコンシャスなフォルムが特徴的。

ファッションスタディ 装苑アーカイブ ジャンポール・ゴルチエ

ファッションスタディ 装苑アーカイブ 1990

ファッションスタディ 装苑アーカイブ Martin Margiela

多様性の1980年代の後、1990年代に登場するグランジルックはバランスこそ違えヒッピーファッションのリヴァイヴァルだ。それ以降の流行も、ほとんどが1960‐1980年代を中心としたリヴァイヴァルとさまざまな異国趣味に、露出という際どさを加えることで成り立っている。時々、最もシンプルな1920年代や最もシルエットの際立つ1950年代の要素も注目されるが、コルセットをする時代には戻れない。
デイドレスはテーラードスーツが、イヴニングドレスは1930年代のシルエットがずっと基本であり続けている。バッグなどを中心とする高級ブランドの席捲は、おのずとそれらが映えるリアルクローズを流行らせる。
その意味で、今後も現代的機能的な1960‐1980年代のリヴァイヴァルを中心に、コルセットをしない時代の服装史が繰り返し参照され続けるに違いない。

ファッションスタディ 装苑アーカイブ マルタン マルジェラ

マルタン マルジェラ
1991年 春夏コレクション
写真:文化学園ファッションリソースセンター蔵
色や素材をミックスしたレイアードスタイルが登場し、グランジファッションが大流行した。

マルタン マルジェラ
1997年 春夏コレクション
体のラインを強調するトルソーをイメージしたトップ。

ファッションスタディ 装苑アーカイブ マルタン マルジェラ

ファッションスタディ 装苑アーカイブ 2000

ファッションスタディ 装苑アーカイブ John Galliano

ファッションスタディ 装苑アーカイブ クリスチャン ディオール

クリスチャン ディオール
2007-2008年 秋冬コレクション
写真:文化学園ファッションリソースセンター蔵
ジョン・ガリアーノが手がける2007-2008秋冬シーズンのクリスチャン ディオールは、1940年代のメゾンのエレガンスに着目。

ファッションスタディ 装苑アーカイブ ファッションスタディ 装苑アーカイブ クリスチャン ディオール
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