横田尚美=文 中川清美=イラストレーション


一世紀ほど前の女性は、それ以前と比べれば様々なスポーツを楽しんだり旅行をしたりと、格段に活動範囲が広がっていた。しかし相変わらずというよりは技術革新の進むコルセットで、胸からウエスト、腰までを締め付けていた。かつてないほど女性の生活と服装が乖離していたので、女性が楽な服を求めるのは歴史の必然だった。そんな中ほぼ100年前の1906年、「モードの帝王」ポール・ポワレが、オートクチュール・デザイナーで初めてコルセットを使用しないデザインのドレス「ローラ・モンテス」を発表する。マリアノ・フォルチュニイがイタリアでより現代的なドレス「デルフォス」を発表するのは、この翌年だ。1910年代にかけて日本やアラビアの民族服、古代ギリシア・ローマの服、そのリヴァイヴァルであるナポレオンの時代のドレスのアイディアを取り入れた、ウエストにポイントを置かないデザインが流行する。
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ウォルト |


1914年、ヨーロッパ全体を巻き込んで第一次世界大戦が勃発する。ガブリエル・シャネルは、働かざるを得なくなった女性が望んだソフトなスーツとブラウスで人気を得た。大戦が終わった1918年ごろ、マドレーヌ・ヴィオネは幾何学形でからだに沿わない画期的な服をデザインする。女性も機能的でシンプルな服を求めており、1920年代に入るころには、女性服は全くウエストを締め付けない、からだに自然で楽な形が当たり前となっていた。1925年ごろにはスカート丈も膝丈になる。ドレスの形は長方形で、この時代に流行するアール・デコ様式は幾何学的・直線的デザイン。色もともに黒が多く、いずれもモダンな印象だ。
マリアノ・フォルチュニイ |
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ポール・ポワレ |


シャネル |
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ジャン・パトゥ |


1920年代後半には女性らしいラインが戻り、スカート丈も少し長くなっていた。1929年に世界大恐慌が起きると世の中が保守的な雰囲気になり、1930年代にはますます女性らしさが好まれた。ただし、それはフリルやボー、フレアなどで表現され、デイドレスは基本的には1920年代と大きく変わるものではない。イブニングドレスは、布地を斜めに使うバイアスカットによる、からだに吸い付くような細長いシルエットが流行した。バックレスや薄く柔らかな布を重ねる手法も、女らしさを表現するデザインとして人気だった。バイアスカットを発明したといわれるヴィオネ、この時代も人気のシャネル、そしてシュルレアリストのダリらとコラボレーションして、ファッションデザインにアートのおもしろさを持ち込んだエルザ・スキャパレリといった女性デザイナーに加え、スポーツウェアの得意なジャン・パトゥらが活躍していた。
ジャン・パトゥ |
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作者不明 |
エルザ・スキャパレリ |
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